改正法前後比較

東京地裁で「イカタコウイルス」作成者に懲役2年6月の実刑判決 2011/07/20
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110720/362588/?ST=security
>裁判所が読み上げた判決文では、コンピュータやハードディスクにおける器物損壊罪の成立要件について詳しく説明しつつ、弁護側の主張のほぼすべてを退けた。
>例えば弁護側が「ハードディスクを損壊したわけではなく、一時的に使えないようにしただけだ」と主張したのに対して、裁判所は「確かにハードディスクは壊れてないが、実際の物が壊れていなくても、物が本来の効用を成さなければ器物損壊罪が成立するという最高裁判例がある」と退けた。
>弁護側の「ハードディスクのデータがウイルスによって壊れても、原状回復は容易である」と言う主張に対しては、裁判所は「セーフモードで起動してウイルスの起動用ファイルを削除する」「データ復元専門会社に依頼して復旧してもらう」「フォーマットする」「リカバリーCDを使う」などの原状回復策を検討。いずれも「一般のパソコン利用者にとって原状回復が容易とは言えず、また、必ず元のデータを取り戻せるとも限らない」と断じた。
>弁護側はいわゆる「サイバー刑法」で規定される「ウイルス作成罪」(2011年7月施行、本裁判には適用されず)の立法対応が遅れていたことが被告人に有利であるとも主張したが、裁判所は「今回は器物損壊が問題になっている事案で、ウイルス作成罪が想定している犯罪とは異なり、今回の判決に影響はしない」とした。
>そのうえで裁判所は、量刑の理由として「被害者のパソコンの数万個のファイルを破壊しており、家族の写真など金銭に換算できないデータも破壊している。犯行態度は巧妙かつ計画的で、動機もきわめて悪質。コンピュータ犯罪の前科があり、被告人は規範意識に問題があり厳しい処罰が必要」として、懲役2年6月を言い渡した。

ウイルス:保管容疑、初適用 38歳無職の男逮捕−−警視庁
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110721dde041040075000c.html
>逮捕容疑は17日午前9時40分ごろ、ファイル交換ソフト「シェア」の利用者に感染させる目的で、自宅パソコンにウイルスを保管したとしている。川口容疑者は調べに対し、「シェアが無秩序状態なので利用者をこらしめてやろうと思った」と容疑を認めているという。
>川口容疑者は独学で07年からウイルスを作り始め、「昨年春から約10回シェアに放出した」と供述。パソコンには2000人近​くのIPアドレスが保管されており、同数がウイルスに感染したとみられる。作成されたのは、改正刑法の施行前で、作成罪は適用されなかった。

(7/23追記) ネットを巡回してもウイルス(ワーム)をばら蒔くのは悪い(刑事罰当然)というネット住民の動向じゃろう。ワームのサイバーノーガードの方が悪いという意見はごく少数のようじゃて。