ハイテクで業過の悪寒

カナダ:医療記録システムはセキュリティホールだらけ?
2010年2月12日 (金曜日) Cyberlaw サイバー法ブログ
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-26e6.html#comment-42158424
>日本でも医療現場におけるIT化がかなりの程度まで進んでいるが,米国やカナダでは更に大規模に医療データの電子化が進められてきた。しかし,その医療記録を保存し処理するシステムの安全性について何度も疑問の声があがっている。おそらく,システムによって相当の差がある。下記の記事が出ている。
>Health records system was full of holes
Vancouver Sun: February 11, 2010
http://www.vancouversun.com/health/Health+records+system+full+holes/2549890/story.html

尊敬する夏井教授のブログCyberlawでさっそく指摘されている。
MEの略称に含まれる医療用コンピュータ(メディカル・エレクトロニクス)では,プログラムのバグやクラッキング*1でひとたび誤作動したら,人命にかかわる懸念がある。
SFなら,コンピュータを使った又はコンピュータによる殺人(マーダー)又は傷害致死・過失致死(第三級謀殺罪;マンスレイタ)*2なら昔からあった。これならおとぎ話レベルで終わったろう。

しかし,実際には,その後に現実の犯罪記録にもあるようだ(汗。

>1995年のオーストラリアでは,自分の働いていた病院に対して不満を持つ職員が,病院のホストコンピュータのデータシステムにハッキングして,患者の電子カルテ上の投薬データ改ざんし,それに気付かなかった看護婦が電子カルテの改ざん投薬データに基づき薬剤を投与したため,投薬を受けた子供の入院患者が死亡する事件が発生している。

  • 出典:大橋充直著「検証ハイテク犯罪の捜査(第33回) ソフトウエアの捜査(基礎編)」捜査研究潤・31号,東京法令(2004.03),ISSN:0286−8490/同「検証ハイテク犯罪の捜査(第66回)インターネットの光と闇(夏休み恒例エッセイ)」捜査研究No.674,東京法令(2007.08),ISBN:9784809092510
  • 参考:情報セキュリティービジョン策定委員会「安全なネットワーク社会を目指して」財団法人社会安全研究財団(1998),情報システム監査株式会社代表取締役社長橋本昌典『インターネット時代のセキュリティ』財団法人マルチメディア振興センター「マルチメディアクオータリー」(1998),佐々木良一「インターネットセキュリティ入門」岩波書店(1999)

直接人命に関わるコードを書くのは怖い。入力ミスというヒューマンエラーを想定の範囲内としてウォーニングorコーション・モジュールをキッチリ書かないといけないし,エラー判定アルゴリズムにバグが潜む懸念を拭い去れないからだ。
その上,サイバー犯罪やサイバーテロによるクラッキング対策というセキュリティまで想定の範囲内に取り込む必要がある。交通機関の保安コンピュータ・システムへのクラッキングで大量殺人を企てた事案なら,小説レベルでは,旧式保安信号のクラッキングを扱ったものもある。

((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル

*1:ここでは不正アクセスによるデータやプログラムの不正削除や改ざんの意味。

*2:これら法概念なら法学部生のブログ記事http://d.hatena.ne.jp/hascup_jr/20100209 が我々素人にも判りやすい。